住宅業界がデジタルシフトで成功するためには?|住宅業界インフルエンサートークセッション
- Date.
2021.10.04
- Category
introduction
2021年10月1日(金)に行われた株式会社ダンドリワーク主催のオンラインイベント「住宅業界インフルエンサートークセッション」にCEOの林が参加しました。
プライベートでも仕事の話題で盛り上がることが多い4名が集まり、「本音を語る場」として設けたこのトークセッション。好評につき第2回目となる今回は「デジタル活用術のニュースタンダード」というテーマで「デジタルを活用した新しい住宅業界の可能性」について意見を交わしました。
スピーカー紹介
株式会社ダンドリワーク 代表取締役 加賀爪宏介
株式会社myhm CEO 乃村一政
株式会社サンプロ 代表取締役 青栁弘昭
House Product Market CEO 林哲平
ファシリテーター / 株式会社エンクランプ 代表取締役 服部公一
デジタル戦略の鍵は”目的の明確化”と”効果測定”
住宅業界でも「デジタルシフトの重要性」が話題となる機会が増えてきました。しかし、「なぜデジタル化が必要なのか?」という問いに対しては、すぐに答えられない方も多いのではないでしょうか。
トークセッションの冒頭では、住宅業界におけるデジタル化の重要性や、デジタル化することでより大きな効果を得るには何が必要かについて議論しました。

大切なのは「デジタル化することで、何を実現したいか?」
林
現在Doliveでは、エンドユーザーが家づくりを簡単にシミュレーションできるアプリ「Dolive simulation」を、2022年春のリリースに向けて準備しています。
なぜこのアプリを開発したかというと、シミュレーションを通して「家づくりはこんなに自由に楽しむことができるんだ!」ということを体験していただきたかったからです。今は、家づくりを検討する方の多くが直前になって焦って情報収集するというのが多いのではないかと思います。このアプリを使えば工務店に足を運ぶ前段階で、「どんな家で暮らしたいか?」をより具体的に描いていただくことが可能となります。

乃村
私も普段から「エンドユーザーが支持してくれるサービスを作れば業界も追随する」という考えのもと、常にエンドユーザーの幸せを追求しています。
ただ、現時点はエンドユーザーとビルダーの間の温度感に大きな乖離があるのが現実です。これからの住宅業界に求められるのは、デジタル化することでこの差を埋めていくことではないかと感じています。
加賀爪
住宅業界は他の業界と比較して、デジタル化に遅れを取っていることは間違いありません。エンドユーザーも、早くデジタル化することで「住宅購入の流れをもっと分かりやすくしてほしい」と感じているのではないかと思います。
ただし、顧客が求めるものが膨大になると、新たに必要な業務が発生するため、たとえ顧客満足度が高まったとしても従業員満足度が下がってしまう可能性があります。これがカスタマーファーストに舵を切る以前の、工務店が抱える課題なのではないかと思います。
だからこそ、社内の根本的なデジタル化を進めることは「事業拡大のためのデジタル化」だけでなく、「一人当たりの生産コストを下げることで高収益化する」という意味でも必要不可欠なのではないでしょうか。

青柳
私たちの会社でも、常に「生活者目線」でのデジタル化を考えています。ここで言う「生活者」とは、我々の会社で働く社員を含め、その地域で暮らす全ての方たちのことです。
デジタル化を進めるうえで最も大切なのは「デジタル化をする目的」を明確に持つことだと考えています。今後更にデジタル化が加速することは間違いなく、自社メディアがなければ会社のことを全く知ってもらえなくなります。顧客とのタッチポイントを増やすためには、他の住宅系メディアを活用するのも一つの手です。もちろん会社の仕組み自体がデジタル化されていないと、生活者目線のデジタル化についていくことができないため、社内の仕組みを構築する動きも必要だと思います。
デジタル戦略の成功は、トップの考え方次第

乃村
社内でデジタル化を進める場合、本来は導入するツールごとに担当を分けるべきだと思います。ただ、従業員数が300人以下の会社であれば、社長が担当するのがベストだと考えます。なぜなら、実務が本当の意味で機能するか否かは、トップの考え方次第だからです。
林
「デジタルツールを使ってどんな会社を作りたいか?」を明確にすることが一番重要なため、会社の経営戦略、営業戦略を理解できている方が担当するべきだと思います。「会社でこんな文化を作りたい!」、「これだけの利益を残したい」!という想いのある方が担当してアクセルを踏まないと、なかなかうまくいかないのではないかと思うからです。
青栁
会社がデジタル化をしない理由は絶対にないと思っています。「デジタル化」や「DX化」と聞くと苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、お客様とのやりとりをLINEですることもデジタル化の一つです。まずは、すぐにできることから始めて、少しずつ会社の収益性を良くしていくことが大切なのではないでしょうか。そうすることで生まれた利益は、福利厚生や働き方改革の原資にすることができるわけですし、デジタル化して集客していけば、今まで以上にコストを抑えてお客様とのタッチポイントを増やすことができると思います。
デジタル化がもたらす効果を可視化できる仕組みを

林
住宅業界でデジタル化を進めようとしたとき、「どの部門からデジタル化するべきなのか?」という話が出ると思いますが、間違いなく担当の現場からするべきだと感じています。なぜなら、外部会社とのディレクション業務が発生するからです。会社として一番見えづらいところだからこそ、真っ先にデジタル化を進めることで効率よくする必要があるのではないかと思います。
加賀爪
現場からデジタル化を進めてうまくいった会社は、あまり聞いたことがありません。間違いなく重要だということは分かっているのですが、一番デジタル化が難しい部分だからです。社内でデジタル化を進めるのであれば、まずは他の部門で成功体験を作る必要もあるのではないかと感じます。

青柳
デジタル化の根源は「人時生産性」だと思っています。「人時生産性」とは、社員1人が1時間あたりいくらの粗利を稼ぎ出すかという指標です。これをもとにKPIを作ってさえいれば、デジタルツール導入後に良し悪しを判断することができます。
例えば、ある部門での社員の時給が5,000円と算出されているのであれば、そこから5,500円にするにはどこをデジタル化することで、時間効率を上げられるかを考えるのが一番重要なポイントとなります。なぜなら、生産性が上がらないと本当の意味での働き方改革はできないからです。
また、KPIがなければ様々なことにトライしても何が合っていて間違っていたかを判断することができません。KPIは年間に稼ぎ出す事業部単位の粗利があれば、簡単に算出することができます。
まずは、1人の社員が1時間あたりどれだけ利益を出しているかを把握することからスタートし、部門別に見ていってみてはいかがでしょうか?これが、デジタル化を進める本当の第一歩なのではないかと思います。
デジタルシフトで再認識された「リアルの時間」の価値
最後は、「デジタルをどのように活用していくべきか?」について具体的な方法を出し合いました。スマートフォンが登場する前と後では、受け取る情報量が500倍も増えたとも言われる昨今。お客様とのタッチポイントを増やしていくには、どのようなデジタル活用が求められるのでしょうか?
消費者を取り巻く環境の変化へ対応する

林
ライフスタイルに必要な情報に関しては、消費者の方がリテラシーが高い状態なのではないかと感じています。住宅業界の人間は、自分たちが建築に必要な情報しか持っていないということ事実に、早く気付くべきです。
今後、消費者が工務店と接する中で「なんだかちょっと違うな…」という状況が出てくるのではないかと懸念しています。未だに価格競争で、間取りさえ決まれば良いと思っている工務店は、情報をインプットする方法を変える必要があるのではないでしょうか。
住宅業界は特殊で、ほとんどの工務店が「個人商店」という意識が強いのではないかと思います。しかし、エンドユーザーから見ればただの「家を作るメーカー」の一つでしかないのです。今後は、大手のハウスメーカーなどと同じように、ユーザー視点で経営を行っていく必要があるのではないかと感じています。
乃村
業績が伸び悩んでいるビルダーの話を聞いていて感じるのは、お客様にお渡しする資料が「売るための資料」になっているということです。本来、「暮らすための資料」でなくてはならないはずなのに、その家で暮らしていくことを考えて作られた資料は全くありませんでした。
エンドユーザー側はライフスタイルのリテラシーや情報収集力が上がっているのに対し、住宅業界は「もの売り」から脱却できていないのではないでしょうか。これが今の住宅業界全体が抱える大きな課題であり、このまま変わらなければ「支持されなくなる」という危機感を持つべきだと感じています。
住宅業界で生まれるニュースタンダードとは

青栁
私の会社では普段から社員に対して、自分たちのスキル、自分たちの会社のブランドも含めて、建築は「時間を買ってもらう仕事だ」と伝えています。より良いものを限られた時間の中で生産していく文化を作るためにも、やはりデジタル化は必要不可欠だと考えています。
デジタルを活用することでアナログの時間をしっかりと作り、アナログの時間のクオリティを高めていくことが「本当のデジタル化」なのではないでしょうか。
加賀爪
オンラインで問題なく打ち合わせができるようになったと思いますが、やはりリアルで行う打ち合わせならではのメリットも感じています。大切なのはオンラインとリアルのどちらが適しているかを見極めることなのではないでしょうか。リアルで会える時間を作るためにも、デジタル化によって効率化することが求められるのだと感じています。
デジタル化も良い面と悪い面の両面があるはずです。それを理解したうえで、リアルを大切にしながら「人間味の良さを引き出す」ために、デジタルを活用することが必要となるのではないでしょうか。

乃村
IT業界から住宅業界に入ってきて感じたのは、顧客に対してビルダー側が圧倒的に情報優位だということです。この経験から、専門的な情報を知らないエンドユーザーに対して「いかにフレンドリーなサポートができるか」という点に、デジタルの可能性があると感じています。今後は、ビルダー側が提供した情報をストックして、いつでも見直すことができる環境ができたらいいなと思います。
今後住宅業界で求められるのは、「お客様が望んでいること」や「お客様の中では当たり前のこと」に対して、徹底的に向き合う姿勢ではないでしょうか。
新しいことを始めると、ユーザーが追いついてくるまでには時間がかかりますし、業界内から色々な意見をもらうこともあるでしょう。しかし、既存プレイヤーの中から成功者が現れるには、本当の意味で顧客ファーストに振り切ることが必要となるのだと思います。
林
過去を振り返ってみると、新しいテクノロジーやパラダイムシフトが起こったサービスを作ったのは、ほとんどがアウトサイダーなのです。おそらく今後も、業界内からそんなプレイヤーが出てくる可能性は低いのではないかと感じています。
大切なのはこの現実にしっかりと向き合い、待つのではなく「誘う」ことです。自分たちにできないのであれば、別の業界や違う視点を持つ人とともに、住宅業界で新しいサービスを作れば良いのです。
今回のトークセッションを聞いてくれた方々の中でもグルーブが生まれ、これから新しい挑戦をしていく仲間が増えていけば良いなと思います。
まとめ

これまで何度もデジタル化について議論を重ねてきましたが、デジタル化の効果の測定方法についてはあまり語られていなかった分、大変貴重な回だったのではないかと思います。
デジタル化は必要ですが、ただ単に導入すれば良いというものではありません。既に取り組みを始めている方も「デジタル化することで何を実現したいのか?」について、今一度見つめ直す時間を設けてみても良いのではないでしょうか。
業界を牽引するインフルエンサーが本音をさらけ出してざっくばらんに語る場は、他ではあまり見られないと思います。今後も、住宅業界以外の方もゲストに招きながら、皆さんの視野が広がるきっかけになるような場を作っていきたいと考えています!
次回は年末に開催予定です。普段のセミナーでは話せないような本音トークも、このトークセッションの見どころの一つ!会話の中から少しでも経営のヒントに繋がるようなアイデアをキャッチし、小さなことから実践していただけたらと思います。住宅業界のニュースタンダードを作っていく仲間として、これからも一緒に取り組んでいきましょう!

株式会社ダンドリワーク
「現場とともに、走る鳥」のスローガンのもと、建築現場の施工管理アプリ「ダンドリワーク」やマンション工事の予約管理アプリ「ITENE(イテネ)」を提供。
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株式会社マイホム
家づくりでくらしの想いをカタチにするところから引き渡しのあとまで、ずっと一緒に寄り添うマイホームのアプリ「マイホム」を展開。
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株式会社サンプロ
長野市・上田市・松本市・塩尻市に拠点を持つ、新築住宅・リフォーム・不動産などを主核とした住生活事業を展開する会社。
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